2013年10月31日木曜日

海外データ通信の手引き-その3 (実用編 その2) 「注意すべき点」


海外データ通信の手引き-その3

(実用編 その2)「注意すべき点」

~SIMカードの種類、タイプ、有効期間、チャージ、iPadの活用など
 

 今回は、スマートホンや高機能携帯を活用し、海外でデータ通信をやる場合、「注意すべき点」に焦点をあて、実用編の2として展開してみます。

iPhone5s、5cも発売され、タブレット「Nexus 7」など多様な機種が出回り、スマートホンとタブレットの境界というか、データ通信機器の境界が小さくなり、旅に何を持ち歩くか難しい時代になりました。

そんなことも有り、タブレットの活用に関わって、前回までにふれなかった点で、「iPad」についても補足しておきます。 

1.購入するSIMカードについて~プリペイド、そしてサイズ?

 海外で、スマートホンや高機能携帯を使って、データ通信をする場合、それに差し込んで使う、SIMカードが必要です。

SIMカード(Subscriber Identity Module Card)は、GSMやW-CDMAなどの方式で使われている電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードです。最近は、それに加え、第3.5世代及び第4世代のLTE回線に対応したSIMカードも販売されるようになっています。

今、主流の第3世代 (ドコモでいえばFOMA世代) SIMカードは、W-CDMA (UMTS) の場合、UIMカードもしくはUSIMカード、CDMA(AUなど)の場合、R-UIMカードと言っているようですが、通常SIMカードと呼ぶのは問題無いようです。

 

  ポストペイド、プリペイドの違い
 
SIMカードは、日本でも、海外でも、ポストペイド、プリペイドの2つのタイプがあります。ポストペイドは、いわゆる後払い式の契約回線を意味します。プリペイドは、前払い式の回線利用で、旅行者などが手に入れるSIMカードは、基本的にこちらになります。  

旅行者の場合、購入にあたって、「プリペイドSIMカード、新しいSIMカードが欲しい」というリクエストをすることになります。

   SIMカードのサイズ
 
 
 
 上記写真の左がスタンダードSIMカード、真ん中がマイクロSIMカード、そして右が、
nanoSIMカードです。写真を見て分か通り、SIMカードの大きさ・厚みなどは違います
が、ICチップ部分はほぼ同一です。
プリペイドSIMカードの場合、音声+データ通信、音声のみ、データ通信の3種類があり、使用目的で選択をすることを前回ふれました。実は、それに加え、SIMカードにはサイズの違いがあります。プリペイドSIMカードを購入する場合、サイズを指定する必要があるのです。

サイズにも、国際規格があり、スタンダードSIM、マイクロSIM、nanoSIMの3種類があります。当初は、ほとんどスタンダードSIMでしたが、スマートホンや高機能携帯の小型・軽量化の流れの中で、SIMカードも小型・軽量化が図られ、マイクロSIMが登場し、iPhone 5に合わせ、更に小さいnanoSIMも登場しています。

スタンダードSIM、マイクロSIM、nanoSIMの3種類の互換性についてです。ICチップ部分はほぼ同一なので、互換性はあります。

プリペイドSIMカードの場合、スタンダードSIM及びマイクロSIMタイプは、どこの会社でも、このサイズを用意していますが、nanoSIMタイプは用意がなかったりすることもあります。(iPhone5の普及で、プリペイドのnanoSIMカードも普及しましたが・・・)

最近は、スタンダードSIM、マイクロSIMの兼用タイプのSIMカードが増えています。対応するSIMサイズが無い場合、マイクロSIM、スタンダードSIMカードをカッターで切って、マイクロSIMやnanoSIMのサイズにすれば利用可能です。専用のカッターも売られています。

逆に、スタンダードSIM対応のスマートホン、携帯電話で、マイクロSIMカードを手に入れた場合は、アダプターを付けて、サイズをスタンダードに変更することになります。この場合、ピッタリしたアダプターでない場合、SIMスロットを傷つけてしまいますので、要注意です。

❖ nanoSIM は、今回、iPhone5で初めて登場したSIMカードですが、マイクロSIMより更に小さく、ICチップの部分だけのSIMのようです。小型・軽量化の流れの中、恐らく主役のSIMタイプとして、普及していくと思いますが、しばらくは時間がかかるのではないかと思います。
 

2.有効期間について~プリペイドSIMカードは使い捨て? 

❖ 海外で、プリペイドSIMカードを購入する場合、旅行など言った時の「使い捨て」という考え方もできます。

ただ、アジアでも、ヨーロッパでも、二度三度行かれる方も多いかと思います。更に、特定の国に、年に何回か行かれる方もいるのではないかと思います。その場合、プリペイドSIMカードの使い回しがきかないのかどうかが気になるところです。


 
 
❖ 上記、ベトナムVinaphoneのプリペイドSIMカードを挿して、残高・有効期限を確認した画面、スクリーンショットしたものです。

8月末、ハノイ・ノイバイ国際空港で、VinaPhoneのVINACARD+リチャージした後のものです。20USドル=約1,600円、4日間でしたので、1日400円程度。国際電話OK、3Gデータ通信、30日間通信量制限なしの定額データプランを使い、日本に国際電話を何回かかけました。残高もかなり残っており、有効期限、概ね6ヵ月後、2013年2月19日にとなっています。

 ベトナムやシンガポール、香港などアジア各国は、プリペイドSIMカードの有効期限、開通から、6ヵ月という場合が多いようです。東南アジアの場合、年に、何回か行かれる方も多いのではないかと思いますが、その場合、幾たびに、チャージをすれば、同じSIMカードで、安く使い回せます。

 例えば、このVinaphoneのプリペイドSIMカードは、デザリングにも対応していますので、WiFiのルーターとしても使えましたので、ホテルのWiFiが有料サービスのような場合、とても便利だと思います。 
 

❖ 残高、有効期限の確認は、通常、確認するSIMカードをスマートホン・携帯電話に入れて、「USSDコード」か「SMS」にコマンドを送って確認します。

 香港の中国移動香港は「*#130#」、ベトナムのmobifoneは「*101#」、チェコのO2は「*104*#」で、このコマンドへ電話すれば、残高、有効期間(未表示も有り)がSMSで通知されます。

❖ プリペイドSIMカードの場合、SIMカードそのものの有効期限の他に、通信料残高(クレジットとかチャージという表現を使う場合が多いようですが)の有効期限が別にある場合もあります。勿論、同一の場合もあります。

通常、リチャージすれば、有効期限が延長されます。香港の3HKの場合、6ヵ月延長。タイのDTACの場合、3ヵ月延長。

また、リチャージ金額で延長期間の差を設けている場合もあります。中国の中国移動通信の場合、100元で90日延長、300元で180日延長となります。チェコのO2の場合、500CZKなら1年、それ以下は6ヵ月となっているようです。
 
❖ その一方、ヨーロッパのプリペイドSIMカードの場合、多少、事情が違うようです。ドイツのプリペイドSIMカードの幾つかは、開通日から90日有効と有効期間が短く、しかも最終有料通話・通信から90日まで有効という縛りもあるようです。この場合は、有効期間を延ばすために、わざわざ通話をして、SIMカードの有効期限を延ばす方法があります。 

ヨーロッパのプリペイドSIMカードは、有効期間シビアで、残高が無くなれば、SIMカードが失効する場合もあるようです。

❖ また、データ通信専用のプリペイドSIMカードの場合、最初から30日間などの有効期限が切られている場合が多いです。これはデータ定額プランの宿命で、データ定額量、使用可能期間がセットになるようです。

 


前の写真は、オーストリアのT-Mobile「SURFKLAX Large Starterpaket」の例ですが、3GB/30日/9.9ユーロ(現在は10GBまでOK)となっています。短期の旅行であれば、使い捨て用で十分です。音声通話に対応していませんが、標準・マイクロSIM兼用タイプ、nanoSIMタイプの両方が用意されており、iPhoneもアンドロイドも両方使えます。
 
3.リチャージ方法について

❖ プリペイドSIMカードのリチャージ方法ですが、①バウチャー購入してチャージ、携帯電話会社のShopへ行きチャージ、③ATMを使ってチャージ、④オンラインでチャージなどがあります。リチャージは、有効期間を延長したい場合や、データ定額プランに申し込み残高不足の場合などに必要となります。



上記写真、香港の3HKのリチャージバウチャーです。開封したら、16桁のチャージ番号を表示されます。3HKのSIMカードをスマートホン・携帯電話に入れた状態で、##105* 16桁の残高追加番号 # と発信すれば、すぐに、残高と有効期限がSMSで通知されてきます。

また、香港やシンガポールなどの携帯電話会社の場合、オンラインを使い、クレジットカードでチャージできるところが多いです。 

しかし、ヨーロッパのSIMの場合は、オンラインでは、PayPalなどはOKですが、他国のクレジットカードで決済できないところが多く、その場合、外国人は、バウチャーを使うか、携帯電話会社のShopかキヨスクなどへ行くことになります。

 

 上記写真は、プラハのトラム停留所脇のキヨスクです。チェコの携帯各社のバウチャーが販売されています。
 

4.MVNOの活用~安く制約の緩いオペレーター

MVNO は、Mobile Virtual Network Operator(モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター)の略です。日本では、ドコモから回線を借りて営業している「日本通信(b-mobile)」がその典型です。MVNO は、自前で回線や設備を持っている携帯電話会社から、その回線や設備の一部を借りて独自のサービスを提供する仕組みです。
 



ヨーロッパでは、ドイツなど、結構、このMVNOの通信会社が多く、データ定額通信で、安く条件の緩いプランを提供しています。上記写真は、ドイツ・e-PlusのMVNO「blau world」のプリペイドSIMカードです。9.9ユーロ/30日/750MBなど、キャリアよりお得なデータ定額プランが有ります。
しかも、キャリアの回線を借りていますので、接続速度などは、そのキャリアと同じ高速通信を利用できます。ドイツの最大手T-mobileは、自ら、コングスターというMVNOを作っています。

ただ、MVNOの場合、直営のShopはほとんどなく、WEBや家電 Shopで購入することになります。アフターケアーの点で、キャリアの携帯電話会社とは格差がありますので、割り切りが必要になるかと思います。開通作業、APNの設定、データ定額プランの設定など、自分でやるのが基本です。家電量販店でもやってくれるところもありますが、期待しない方がよいと思います。

MVNOの検索は、下記のサイトを参考にされると宜しいかと思います。


 
5.「iPad」を使って海外データ通信~海外ではSIMフリー!
 
前回までふれておくべき項目でしたが、忘れましたので補足します。最近は、スマートホンを一回り大きくしたタブレット端末が色々販売されています。アップルのiPadもその代表格で、更に、iPadminiという7インチサイズが発表されています。

 

iPadは、タブレットとしては、高性能、高機能で、私も、新iPadを持っていますが、CPUは、クワッドコアで、サクサク使えます。大きいので、海外に持ち歩くのはどうかという方も多いかもしれませんが・・・。

日本で購入するiPadの場合、最新タイプは、Wi-Fiタイプ以外に、「iPad Wi-Fi + Cellular」タイプが有り、こちらには3Gによるデータ通信機能が搭載され、マイクロSIMカードを挿して利用するようになっています。

その場合、iPhoneと同様に、ソフトバンクなどとの契約が必要となっていて、SIMロックがかかっています。日本国内では、ソフトバンクの携帯網でしか使えません。

ただ、iPhoneとは違うのは、海外では、SIMフリーとなり、海外携帯各社のSIMカードを使って、データ通信が可能だということです。

これはSIMロック解除などの手続きは不要で、海外で、その国のプリペイドSIMカード(マイクロSIMカード)を購入すれば、データ通信ができるという簡単な仕組みです。

iPad2までは、ソフトバンクの契約、プリペイド式も有り、一旦契約して、3G使用について、アクティブにして、その後解約する方法もあります。国内では、WiFiを使い、海外では、現地SIMカードを使うことになります。

例えば、フランスでは、SFCという会社、iPadのデータ通信用プリペイドSIMカードを販売しています。9.9ユーロで、2日+1日=3日間、データ量制限無しで、旅行者向きの魅力あるものです。パリ市内各地にあるSFCのショップへ行けば簡単に買えます。 

iPhoneも同じような仕組みにすれば、国内では、ソフトバンク、海外では、各国のSIMカードという使い分けができて便利なのですが、ナカナカそうはいかないようです。

▶▶▶▶ 続 く ◀◀◀◀

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